【魔法童謡『十人の殺人鬼』について】


 魔法童謡『十人の殺人鬼』は十番からなる歌である。
 最後まで歌いきると、世界が終末を迎えると言われているが、定かではない。

 以下はその歌詞であるが、くれぐれも声に出して歌わぬこと。

 一、 一番目の殺人鬼 楽しく刺すよ♪
    鼻歌 彼から こぼれれば♪
    あたり一面 まっかっか♪

 二、 二番目の殺人鬼 まさかり振るよ♪
    鼻歌 彼から こぼれれば♪
    体が左右に まっぷたつ♪

 三、 三番目の殺人鬼 縛り首好きよ♪
    鼻歌 彼から こぼれれば♪
    吊られた体が ぷうらぷら♪

 四、 四番目の殺人鬼 毒薬盛るよ♪
    鼻歌 彼から こぼれれば♪
    スズラン タリウム ウミウサギ♪
   
 五、 五番目の殺人鬼 金槌ふるうよ♪
    鼻歌 彼から こぼれれば♪
    頭が体に ひっつくよ♪
 
 六、 六番目の殺人鬼 秒殺するよ♪
    鼻歌 彼から こぼれれば♪
    ゴングの直後に ノックダウン♪
 
 七、 欠番
    (すべての歌がうたわれた時、世界が終わると言われているので歌わぬこと)

 八、 八番目の殺人鬼 悩殺するよ♪
    鼻歌 彼女から こぼれれば♪
    見た奴 鼻血が 大噴火♪

 九、 なんか ふーふーふーふー♪
    なんか ふーふーふーふー♪

 十、 もうないです 思いつきません ほんと 勘弁してください♪
    調子に乗って 十番まで歌うと とか言って すんませんでした♪
    というか ここも伴奏ついてるってことは これが本当の十番になるわけだ♪
    ケーケッケッケ 騙されたな ここまで歌えば♪
    もう地獄の蓋が開いたも同然だぜ♪
    え? 七番が欠番なの? だから全部歌ってない?♪
    あ ほんとだ♪
    そりゃねえよ♪  

 という歌なのであるが、どうやら魔法童謡『十人目の殺人鬼』自体が意志を持ってい
 るらしい。
 その証拠に、常に歌詞が変わり続けているという報告もある。
 (五十六年前に確認された際には六番の歌詞が『鏖殺』であった。
  国の東部、ジャーキ地方では八番の歌詞が『扼殺』である。など)

 七番が欠番であるので、すべてを歌いきることは不可能である。

 しかし、魔法研究機関『チューニッヒ学派』は、
 十番まで完全に歌われたことがある、という立場に立っている。
 つまり、すでにこの世界は一度、終わっているというのだ。