【もの言う人頭】


シンジの実家は、召喚士の家だけあって、もの言う人頭が廊下の飾り戸棚に三体、陳列されている。

真鍮でできた頭部のみのそれらは、メルキオール、バルタザール、カスパーと呼ばれていて、
お互いが持つ情報を交換しあい、『可決』だの『否決』だのと、昼夜を問わず、なにやら協議している。

夜中にトイレに行く際など、もの言う人頭が協議している前を通ることになるのだが、
彼らのひそひそ声は非常に怖い。

昔、シンジがそれをやめるように頼んだことがあったが、彼らは顔を見合わせてニヤニヤ笑うだけだった。
肘がついていたら、互いを突きあっていたかもしれない。

どうやら、ゲンドウ > 人頭たち > シンジの力関係ととらえていたらしいのだが、
兄をバカにされたと感じたレイが、無言実行。

レッドアイを炸裂させる。慌てて止めたシンジのおかげで、カスパーの側頭部を焦がし
ただけで済んだ。

それからというもの、人頭たちは、
ゲンドウ > シンジ > レイ > 人頭
と力関係をとらえなおしたらしく、
それ以降、シンジが彼らの前を通るたびに『坊ちゃん、坊ちゃん』と呼ぶようになる。

それがシンジには、大変うっとうしい。